Archive for the 'トーキョーバイク' Category

ポタリング・トーキョー 〜としまえんで映画編〜


練馬区に住む友人氏はユナイテッド・シネマとしまえんがお気に入りみたいだった。大きくて綺麗で割引もあって、なにより空いているらしい。確かに新宿や池袋から近いものの、わざわざ「練馬の」映画館に足を運ぶ人は少なそうだ。
練馬方面に伸びる環状七号線を北上すれば、我が家からも自転車で30分以内で辿り着けるはずだった。

まずは予定通りに夜の環七を北上。大和陸橋を通過。引越の時最後まで候補に残ったマンションを懐かしく見上げる。目の前の歩道橋にのぼり車道を見下ろす。
再度自転車にまたがり、西武新宿線野方駅に到着。線路を越え商店街を通過、新青梅街道に出る。都立家政駅周辺を散策してさらに北上すると目白通りにぶつかる。
人通りの無い歩道とカーブを描く広い車道。時折高架を西武池袋線がゴォーと通り過ぎていく。好みの景色を立ち止まって眺める。
練馬区はなかなかフォトジェニックな街であることが判明した。

地下道をくぐり、としまえんに繋がる道を真っ直ぐに進む。地図で見た町名を確認しながら走っていると突如左手にユナイテッド・シネマとしまえんが現れた。
実はこの時既に上映時間を過ぎていた。開演時間を調べてあったものの、初めての土地の景色にはしゃぎ過ぎたせいで到着時間をオーバーしてしまったのだった。

それにしても!立派な映画館!
建物内をダウンライトが照らし、吹き抜けのロビーからは階上へエスカレーターが伸びている。
最近の嫌煙傾向にも慣れ、そそくさと外へ向かっていると立派な「SMOKING ROOM」を発見する。木製のベンチやライトはモダンなインテリアで、暖房もしっかり効いて空間も広い。喫煙所にあるまじき贅沢な空間だった。
次の回まではあと2時間。閉園日のとしまえんを見に行くことにする。

真っ暗な入場ゲートをぼんやり眺めていると、目の前の豊島園駅を降りた人々はするするとゲート脇の道へ消えていった。どうやら通り抜けができるようだ。彼等の後をおそるおそる歩いているといつの間にか人影は消えていた。
すると目の前には巨大なウォータースライダー、”ハイドロポリス”が姿を現した。真っ暗でしんとした空間に不気味な白いチューブが上空に渦を巻いている。
プールの水面はどす黒く底なし沼のようで、わずかに浮かび上がった白いチューブは視界を覆い尽くした。まるで遊園地の廃墟を見ているかのようで、すぐに道を折り返した。休園日のとしまえんは夜来るところではなかった。

カフェのような映画館のロビーで書き物をしながら『マリー・アントワネット』の上映時間を待つ。0時近くに終演し、空いている車道を軽快に走り帰宅した。


本日の1曲
I Still Remember / Bloc Party


ポタリング・トーキョー 〜西新宿騙し絵界隈編〜


飲食店が密集し、歌舞伎町を有する東口。再開発が進み、若者が多い南口エリア。夜が更けるにつれて街の喧噪はボリュームを増してゆく。
しかし、西口を出て10分余り。その喧噪とは無縁のように夜の西新宿は閑散としている。

立体交差する複雑な土地の下には地下通路が張り巡らされている。西新宿で働く多くの人々が駅から続く地下道を利用している。地下道から建物へ、建物から地下道へ。新宿の地上を歩かずして一日が終わることもある。

そのせいで夜の路上は一層人気がない。週末ならなおさらのことだ。巨大なビルディングがのっそりと立ちはだかっているが、建物の中はがらんとしている。
オレンジ色の街頭が広い道路を照らす陸橋に立つと、駅近くの派手なネオンの看板に人の気配がする。

駅近くでは混雑して騒々しい飲食店の店内もこの辺りでは随分落ち着いて営業されている。若者の姿は少なく、店内も空いている。皆は仕事や用事の帰りにひっそりと静かに食事をしているように見えた。
日中は沢山の観光客を乗せたバスが徘徊しているが、夜になると観光に疲れた観光客はホテルの部屋に吸い込まれてしまう。

時折自転車を担いで階段を上りながら折り重なった道を走ると、巨大な騙し絵の中を徘徊している気分になった。
西新宿を背に自転車でするすると青梅街道を走る。神田川近くの高台から振り返ると西新宿の景色が一望できた。高層ビルが建ち並ぶ、一見華やかなエリアもその中はひっそりとしている。


本日の1曲
Polaris / Jimmy Eat World


ポタリング・トーキョー 〜真昼の青梅街道編〜


午前中曇り。雨を心配して気象庁のサイトで予報を見ると午後からは晴れて夜まで雨の心配はなさそうだった。普段より出勤も遅く時間もある。それならばと本日は自転車通勤を試みた。
自宅を出発しまずは環状七号線沿いの歩道を走る。整備された広い歩道は人通りもまばらで走り心地も快適。若干の上り坂を走ると、青梅街道との交差点、赤い「高円寺陸橋」に到着。

青梅街道に合流し新宿方面に向かう。甲府から続く青梅街道は多摩地区を横断し西新宿まで続く。
その”信頼できる街道”の下を東京メトロ丸の内線が走っている。地図を見ればJR中央線と平行に線路が延びているのがわかる。

丸ノ内線の駅名は中央線のそれとよく似ている。南阿佐ヶ谷〜新高円寺〜東高円寺〜新中野〜中野坂上・・・。この似て非なる駅名の複雑さは中央線の武蔵境〜東小金井〜武蔵小金井に匹敵すると思う。要するになかなか覚えることが出来ない。

新中野駅付近には鍋屋横町がある。こぶりなアーケードに連なった店舗といい、歩道を侵食する大量のママチャリといい、昔ながらの商店街の趣がある。下町風の名称も良い。
地下鉄の利用者もいるために歩道は走りにくい。青梅街道は交通量も多いが、車道を走ると速さが違う。信号待ちでタイムロスをする車両と抜きつ抜かれつしながら車道を行く。

前方に青光りするハーモニータワーが見えると山手通りにぶつかる。この交差点は中野坂上駅でもあり、交通量や景色が一層都会化する。
交差点を直進し、青梅街道を進むと開けた前方にはビル群が見える。神田川の短い橋を渡ってすぐの成子坂下交差点を右折し十二社通りに入る。

緩やかに長い坂道を登ると一際目立つ都庁の本社が迎えてくれる。手前には熊野神社の御堂が見え、なかなか美しい。
銀杏並木が続く道を駆け上がり、いくつか歩道橋をくぐると30分弱で目的地に到着した。


本日の1曲
Get What You Get / Hot Rod Circuit


ポタリング・トーキョー 〜夜の新宿編〜



仕事を終え、急遽大久保の韓国料理店『ソウルハウス』に行くことになった。今日は初めて高円寺の自宅から西新宿の職場まで自転車で出勤した日だった。
目的地の最寄り駅は山手線の新大久保駅。新宿駅からはわずか1駅の距離だ。繁華街を最短距離で移動し、乗車時間は2分とかからない。電車で移動する同僚氏と都庁前で別れ、今夜は自転車で新大久保を目指すことにした。

夜の都庁前はがらんとしている。オレンジ色の外灯がポツポツと配置された広い通りは高層ビル達に見下ろされている。ほとんど真っ暗な夜の都庁を写真に納める人、せわしなく測量を続ける工事作業員氏、人の居ない都庁前広場。それらを眺めながら都庁前通りをするすると走り抜け、ヒルトンホテル前を右折。

この季節になると街中にはイルミネーションが見られる。残念なことに心を打つイルミネーションになはなかなか出会えないが、高層ホテルが立ち並ぶ西新宿も所々イルミネーションが施されていた。

新宿アイランドタワーに到着。目の前の交差点をすっぽり囲む大きなリング状のフレームにはいくつかの信号機が”付着”している。それは上京するまでは見たこともなかった交差点の新しい風景だった。
ロバート・インディアナ(Robert Indiana)氏が手掛けた『LOVE』像は西新宿のシンボルとも言える。今宵もLOVE像の前で記念撮影をしようとカップル達が”順番待ちをして”いた。

新宿の愛を確認した後は青梅街道へ出る。新宿駅西口の大ガードをくぐり抜け、靖国通りに到着。歌舞伎町はあらゆる風俗がごったがえしている。居酒屋とキャバクラは熾烈な客引き合戦を繰り広げている。手のひらに握ってぐちゃぐちゃな割引券を差し出すカラオケ店のバイト氏も必死の形相だ。”健全な人”も”そうでない人”も道端に溢れだしていた。

新宿のいかがわしさを目撃した後、職安通りを横断し新大久保駅に到着。コリアンタウン大久保に突入する。店で待たせている同僚氏の存在を思い出し、大久保通りを最速ギアでかっ飛ばす。


本日の1曲
Rogues / Incubus


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2006/11/08 『ポタリング・トーキョー 〜ガード下で行く吉祥寺編〜
2006/11/05 『トーキョーバイク


ポタリング・トーキョー 〜ガード下で行く吉祥寺編〜



近所を通る環状七号線を北上すれば池袋に、南下すれば世田谷に辿り着く。しかし北へ行っても南へ行っても何をしていいのか思いつかない。
徒歩で散歩をするように、景色を楽しみながら自転車で走ることを「ポタリング」という。本日のポタリングの行き先を行き慣れた吉祥寺に決めた。

東京の駅は間隔が狭く、乗車して数分すると次の駅についてしまう。高円寺から吉祥寺までは4駅。中央線で15分とかからない。
高円寺〜阿佐ヶ谷〜荻窪〜西荻窪〜吉祥寺。今日は各駅を辿りながら吉祥寺を目指す。夕刻我が家を出発した。

久々の自転車の感覚に戸惑う。相変わらずウインカーは出したくなるし、車道を走れば無意識にバックミラーの方向を見てしまう。
駅近くの通りは歩行者が多い。バイクならエンジン音で気付いて貰えたけれど、音もなく忍び寄る自転車にはなかなか気付いて貰えない。狭い通りを何度も『スイマセン』と恐縮して道をあけてもらう。果たして自転車はこんなに静かな乗り物だっただろうか?頭を傾げていると阿佐ヶ谷に到着した。

今まで気付かなかったけれど、この辺りの線路のガード下は大半が駐車場になっているようだ。昼間でも薄暗いその空間に、びっしりと車や自転車が駐車されていた。東京の住宅事情を考慮すると当然の成り行きなのかもしれない。コンビニなどの商店や、歯科医院ですらガード下にすっぽり収まっている。

ガード下を走っていると多くの自転車とすれ違った。車が通らず人通りの少ないガード下は便利な道だった。住宅街を走り抜けると青梅街道に出た。目の前には輝かしい荻窪駅の駅ビル。大学時代に友人氏がバイトをしていた漫画喫茶の前を走り抜け、フト懐かしい気分になる。

環状八号線を横切り住宅街を走っていると見覚えのある商店街に出た。西荻窪駅北口に到着。線路の向こうにソープランドの派手な看板が見えたら吉祥寺駅が近い証拠である。高架の電車を見上げながら走っていると、人々で賑わう吉祥寺に到着した。

まずはOSHMAN’Sへ立ち寄り、今日のポタリングで必要性を感じた「ベル」を購入。自転車を止めて付近をしばし散策する。観葉植物を買いたい衝動に駆られるも自転車で来たことを思い出し、TOWER RECORDSにてCDを購入するにとどまった。
トーキョーバイクは扱いやすい。身長に合ったサイズと軽い車体で乗り心地もすこぶる快適である。今日は購入後初めて迎えた休日であった。


本日の1曲
The Authority Song / Jimmy Eat World


トーキョーバイク


「今すぐ欲しい!期」「ま、もうちょっと考えよう期」を幾度も繰り返しながら、自転車の購入は数年前から検討し続けてきた。我ながらちょっと検討しすぎなんじゃないかと思う。
駐輪場のないこのマンションでは部屋置きが余儀なくされる。部屋まで担ぐためには軽量であることが好ましいが、ロードバイクはどれも値が張る。
しかしある時、トーキョーバイクの存在を知り一気に標準が定まった。

トーキョーバイクは”クロスバイク”という種類に分類される。タイヤは細く、本体重量も軽い。”クロスバイク”とは、レースで使用される”ロードバイク”とタフな地面を走行する”マウンテンバイク”の双方の利点を取り入れたものとして定義されているようだ。

今年のトーキョーバイクのカラーラインナップを眺めて、購入をパールグリーンに決めていた。The Pillowsの名曲『白い夏と緑の自転車 赤い髪と黒いギター』を聴けば最早迷う必要は無い。
かくして10月初頭「Tokyobike Sport Ltd.のPearl Greenが今すぐ欲しい!期」を迎えることになる。

首都圏の取扱店を駆けずり回り、一通り問い合わせをしてみたものの希望のサイズ、カラーはメーカー在庫切れ、次回の入荷は年末と言われた。
クロスバイクには洋服のように細かいサイズ設定があり、手足と股下の長さでサイズが決まる。身長や体型に合わせたフレームを選ばなければ快適な走行は得られないのだ。

昨夜新宿のOSHMAN’Sに入荷時期の問い合わせをすると、あれだけ探し回った希望の車種が本日1台のみ入荷するということだった。今回購入を見送れば、次回はおそらく来年になってしまう。今日は心の準備もそこそこに緑の自転車を迎えに行くことにした。

本体価格48,000円に加え、ライト、スタンド、防犯登録を追加し52,300円を支払った。車体整備から引き渡しまでの90分、本屋とレコード屋をうろつきながら帰りのルートを考えるのも楽しい。甲州街道か?青梅街道か?

店舗ビル前で引き渡され新宿を出発。まずは甲州街道に出て、西新宿で右折し十二社通りへ入る。変速を切り替えると細いタイヤはみるみる加速し、車道を走っているとバイクに乗っているような感覚に陥る。自転車なのにウインカーを出したくなって戸惑ってしまったほどだ。小雨の中、約30分で高円寺の自宅に到着した。

壊れた折りたたみ自転車を乗り捨てて以来、実に6年間も自転車に乗っていなかった。JRと地下鉄が縦横無尽に張り巡らされた都心では、移動に困ることはほとんどない。
トーキョーで自転車を手に入れるということは、景色を感じるための道具を手に入れるということに近い。

>>2013年にトーキョーバイクの直営店が高円寺にできました!>>
2013/02/26 『高円寺にトーキョーバイクがやってきた!』(デイ・バイ・デイ)
>>購入6年後にメンテナンスしたエントリーはこちら!>>
2012/04/29 『トーキョーバイクをメンテナンス』(デイ・バイ・デイ)


本日の1曲
Bicycle Race / Queen