A Song For Kids!

今年行われたELLEGARDENのSpace Sonic Tour。そのスケジュールを知った日から参戦を意気込んでいたものの、競争率の高いチケットを獲得するのは容易ではなかった。そして先週、Zepp Tokyoでのツアーファイナルを収録したDVD、”Doggy Bags”がリリースされた。

正直に言うと、初めてDVDを観た時、違和感を感じた。演奏は中断し、MCもこれまでのようなおちゃらけた調子がない。演奏は申し分ないが、どこか距離を感じさせる。バンドがナーバスになっているのは見てすぐにわかった。

vo.細美氏はセキュリティーが客席にも配置されているのを知ると演奏を止めた。フロントエリアは彼らの音楽を愛してくれるオーディエンスの為だけにある。
『フロントエリアにはお前ら以外は絶対入れないから、マジで。』
彼が守ろうとしているもの。自分の音楽を支持し集まってくれるキッズ達。きっと、それだけだろう。

ナーバスなMCに戸惑うだろうか?
場違いな野次が増え、望まれない観客も増える。参加を望む全てのファンにチケットは行き渡らないのに、インターネットオークションでは高額でチケットが取引されている。
もっとも、ツアーファイナルは同じ会場で2日連続で行われた。止むを得ない理由で演奏が中断したなら、前日の映像と差し替えることもできたはずだ。しかし、この日に中断した演奏も、取り繕うようなMCも、ほとんどそのまま収録されている。

会場の熱気に包まれて、その感触を確かめ、言い聞かせるように。ライブ中の彼は必死で何かを取り戻そうとしているように見えた。大切なものを失わないように、戦っているように見えた。

2005年リリースされた”Bad For Education TOUR LAST BOOTLEG”は、まさに今新たな一歩を踏み出そうとしているエネルギーに満ちていた。
そして友人から借りた”MY OWN DESTRUCTION TOUR BOOTLEG”は2002年12月のライブが収録されている。

ライブハウスに充満する親密な空気が伝わってくるようだった。伝染するハイテンション。MCの下ネタ。挙げ句の果てにはギターを抱えたまま客席にダイブ!
本編が終了しても鳴り止まないアンコールに『もうやる曲がないんだよ』と頭を抱えている。

(この人達、終わったら滅茶苦茶うまいビール飲むんだろうナァ)と思う。
ステージではしゃぎまくる彼等を見ていたら、フッと記憶の中の風景が襲ってきた。それは学生の頃にほっつき歩いた、オレンジ色に染まった夜の繁華街の風景だった。まとわりつく街の空気に若さのエネルギーを撒き散らしていた。あの頃、自分の無力さに打ちひしがれながらも、何者にでもなれるような高揚感があった。

増える動員数と、ライブに行きたくても来られない人々。少なくなる口数と愛嬌のある暴言。単純に楽しいだけの時間は終わってしまったのだろうか。
同じ時期に古いDVDを見たことで、一気にヒストリーを遡ってしまったような、そんな気分になる。

有名になるということは、必ずしも幸福ではないかもしれない。
しかしこのDVD”Doggy Bags”を見て、彼等が大切にしているものはありありと実感できる。そこには下世話な映画よりも眩しい真実がある。


本日の1曲
金星 / ELLEGARDEN


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7/16 『ELLEGARDEN @NANO-MUGEN FES.2006


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